一眼レフとリスと三連休

つい先週生まれてこの方初めて一眼レフというものを買ったので、この三連休はどこか札幌近郊で撮影に出かけようと考えていたところ、円山公園にはたくさんのリスが生息しており目にすることができるという事を聞き、これだと思い決めた。

当方すでに札幌在住20年以上になるもののこれまで円山方面には縁が無かったため円山公園にも足を運んだ事もなかったのだが、公園内にはちょっとした山登りができるほどの登山道がありそこの途中でリスが生息しているらしいのだ。

使用したデジカメはボディがソニーα65、レンズは18mm-250mmの望遠のやつ。動物や鳥を撮影するなら本格的な人なら500mmクラスのものを使うのであろうが、まだそのクラスのレンズを持つ余裕が無い自分としては入門者らしい汎用装備で挑むことになった。

1日目
朝6時に家を出発、地下鉄に乗り円山公園駅を下車して5分ほど歩くと円山公園の入り口に着く。そこの案内板で登山道を確認したのだが、生来の方向音痴により早速道を間違えて野球場横の林を歩いてしまう。
しかしその間違えが功を奏し、自分の目の前に早速エゾリスが登場。リスは登山道まで行かないと見られないと思い込んでいただけにこれは意表をつかれた。心が躍るとともにまだカメラの準備をしてなかった自分はあわててバッグから撮りだし構えたもののレンズキャップを外し忘れるわ露出設定は前日の夜景撮影のままだわとかなり慌ててしまい満足な撮影ができないままエゾリスは山奥へと消えてしまった。

帰ってから画像を確認したがマシに撮れたものはこれくらいだった


その後ジョギングしている人に正しい道を訊ね無事に登山道入り口を見つける。ここの登山道は八十八ヶ所ルートと動物園ルートがあるのだが八十八ヶ所の方が正統派っぽいのでこちらのルートを選択する。
頂上まで30分程度で着いてしまう程の山なのだが割と急勾配なところもあるので引き篭もり体質な自分としてはなかなかきつい。
登り始めてから5分程度で木の幹を走り回るエゾリスを発見。カメラを構えるが250mmの望遠では距離がありすぎちっぽけな姿しか収められずすぐに見失った。
その後も何度か見かけたもののやはり距離が遠かったり、フォーカスが枝葉にあたりボケたり逃げていく後姿しか取れなかったりなど満足のいく撮影ができない。木の幹を駆け上り枝から枝へ飛び移り、草の中を分け入る小動物を写真に収める難しさを痛感する。そうこうしているうちに頂上へ到着。写真を撮りながらでの登頂までの所要時間は1時間ほど。

頂上でしばし休憩。ここから見渡す札幌の街並みは絶景だった。足元を覗くと切り立った崖になっており足が竦む。

帰りは動物園ルートを通って下山。途中2匹ほど見つけたがいずれも撮影に失敗。こちらは行きよりも草深く更に撮影難度が高いように感じられる。しかもここでまたもや失敗を犯す。途中分かれ道になっており八十八ヶ所入口に合流できるルートと動物園入り口裏に出るルートがあるのだが誤って後者を選択してしまったところそのまま森を脱出してしまったのだ。
結局この日は初挑戦でカメラに対しても山に対しても無知・不慣れであったために失敗も多く目覚しい成果は得られずに帰宅。余談だが帰りに円山動物園に寄るとここにもエゾリスが飼育されていた。


動物園内に飼育されていたエゾリス

2日目
朝から雨模様だが前日の成果に物足りずに再度挑むことにした。
傘を差しカメラが雨に濡れないように気を使いながら野球場横に向かったが昨日に引き続きエゾリスを発見。昨日の個体と同じかは不明。
エゾリスは餌を探して絶え間なく歩き回り同じ場所に留まることが少ないため後を付いて行きながら撮影することになるのだが、こっちの存在を見つけると自ら近寄ってくれることもある。興味津々にこちらを見上げる姿はかわいい。

その後登山道に入るとすぐの場所で昨日は一度も目にしなかったシマリスを発見。カメラを構える前に逃げられてしまったが、その直後にエゾリスも見つけたりと幸先がいい。

そして昨日エゾリスを見かけた場所まで来ると登山道を歩いているエゾリスがいたので追いかけてクルミを食べる姿を激写。

後で知ったのだがこの付近は給餌場になっているらしく、わざわざ頂上まで登らなくとも入り口から数分程度のこの場所で待っていればリスの方から現れてくれるのだった。

昨日の失敗とは裏腹に目覚しいほどの成果をこの日ここで得ることができた。

この木の根元には定期的にシマリスエゾリスが巡回してた。

シマリスエゾリスより一つの場所に留まっていることが多いので撮影しやすい

草の実を食べるシマリス

草の実を食べるシマリスその2。小さい実にはエゾリスはあまり興味ないらしい

木の上のシマリス

木の幹を下りるエゾリス

木漏れ日の背景が美しい

エゾリスクルミが好物。シマリスには大きくて食べられない?

お気に入りの一枚

口いっぱいに種を頬張る

顔を洗うシマリスの動画

3日目
前日と同じく給餌場に向かうが時間が早かったせいかリスの姿が見当たらず。代わりにたくさんの小鳥が地面に落ちてる実をついばんでいた。7時頃だとちょっと早かったのかも。
仕方がないので一旦ここを離れることにしてまた山頂に向かって歩き出すがその途中で2匹ほど確認できたもののやはりちょっと遠い。

山頂でしばらく時間を潰した後に今来た八十八ヶ所ルートを下山。
途中お行儀よくドングリを食べてるシマリスに出会った。

再び給餌場まで近づいたところで他の登山者たちが立ち止まっている姿が目に入る。どうやらエゾリスが来てるらしかった。

餌を食べるエゾリスの動画

ここでしばらく時間を費やしていたところ円山の文字の入った腕章をつけたおじさんが登って来る。恐らく登山道の保護のために巡回している人だと思われ、少し話をしてみたところ登山者がむやみに餌を上げる行為についてはちょっと困っている様子だった。
まず第一に野生動物だけに雑菌を持っており手渡しで渡す行為は危険だということ。触ったり噛まれたりすとことによりバクテリアが感染する危険があるらしい。
また用意した餌をばら撒くことで生態系への影響もあることも言及していた。
リスの可愛さについついコミュニケーションを取りたくなる気持ちも分からないではないが、やはり自然に対して人間が必要以上に干渉するのはよろしくないようで、自分も過度な介入は控えてひっそり撮影するに留めておこうと思う。

そんなこんなで引き続き撮影をしているとシマリスが登場

エゾリスシマリスのコラボレーション。ただしシマリスが登場するとエゾリスはすぐに別の場所へ移動してしまった。

観察していると同じシマリス同士でも縄張り意識のようなものがあるらしく、一方がもう片方を別の場所に追いやる場面もみられた。

だが天敵が近くにいる場合は鳴声で他の仲間にも知らせるらしいなど共存意識も持っているらしい。
実際運良くその鳴き声を聞くことができた。最初鳥の鳴き声かと思っていたのだがシマリスであったことが分かりその様子を動画で撮影することに成功。

その後シマリスがしばらくこの辺りをうろつく


この後一旦下山をし、動物園ルートへも足を運んだ。

入口すぐの場所でクルミをくわえたエゾリス登場

すぐ近くに別の固体もいた

川の近くでシマリスを発見

木の根元をずっと掘っていた。

動物園ルートは初日に間違えた分岐点辺りくらいまで来たところで引き返したがそこまでの道のりは思ったよりもリスとの遭遇機会が多く道幅も広く見通しがききやすく撮影向きであるといえた。やはり初日の動物園裏ルートを通ってしまったのは失敗だったようだ。

まとめ
この3日間円山を歩き回り撮影しまくったおかげで地形・リスの生態・カメラ操作のノウハウが自分なりに身に付いたので、最後に円山でリスを撮影するポイントについてまとめみた。

・森の中は思ったより暗い
鳥や小動物を撮影する時はシャッタースピードを上げるべきと某撮影テクニックを紹介するサイトに書いてあったので素人の自分はそれに従い当初は1/400秒程度で撮影していたのだがISO1600でもかなり暗くなってしまった。諦めて1/30〜1/50秒程度まで下げたら丁度いい明るさに収まった。フラッシュを使えばSSを上げることは可能だけど、動物相手に使うと驚いて場合によってはケガをすることにも繋がりかねないので使うことは避けた方がいいです。


シマリスよりエゾリスの方が難度が高い
エゾリスの方がとにかく落ち着きがない。少し歩いてはすぐに動き出すという動作を繰り返し、長い間一つの場所に留まることをあまりしない。餌を取った時もその場で食べず咥えたまま別の場所に運ぶことが多い。また毛色が濃い茶色のため土や木の幹と同化してしまうことが多いので露出補正に気を使う。一方でシマリスは木の枝先や切り株の上など見通しの良い場所に立ってじっとどこかを見つめていることが多く、また草の実などの餌をその場でむしって食べたりしていることが多いので撮影がしやすい。

・山の上の方は撮影には不向き
この時期はまだ草も生い茂っておりリスを見つけたとしても直ぐに草葉の陰に隠れたり、別の被写体にオートフォーカスがあたりボケてしまったりと失敗することが多い。撮影するならどのルートを選ぶにしても登山道入り口付近の方が断然向いている。ただ上の方にも別の給餌場があったのでもしかしたらそこで待てばリスが集まって来るかも。(自分はそこで見つけることができなかった)

エゾリスを狙うなら早朝
エゾリスは早朝から行動し、昼前には巣に戻ってしまうらしく、昼過ぎに行っても見れない可能性が高い。
事実別の日に午後2時ごろに行った時は見つけることができなかった。
一方シマリスは昼過ぎでもあちこち歩き回っているので大丈夫なよう。

・リスを追いかけるために登山道から外れるようなことをしてはダメ
ここは山自体が天然記念物に指定されており登山道から外れた奥に入っていくことが禁止されているのでリスを見つけたとしてもあくまでも登山道から撮影するまでにとどめておこう。