モバスコを試す

前回のエントリーの通り土曜は衝動買いしてしまったモバスコを試すべく盤渓市民の森へと出掛けてきた。

今回の撮影では以下の撮影機材を持ち歩きながら道中で鳥を見つけたらその場で一脚を立て撮影というスタイルで挑戦。レリーズはなし。

ボディ:ソニーα65(手振れ補正機能あり)
フィールドスコープ:ビクセン ジオマII ED52-S
接眼レンズ:GL15(倍率11倍、35mm換算での焦点距離は1188mm)
一脚:ベルボン EXUP-53

まず市民の森に入って最初に見つけたのがアカゲラ
小鳥よりもサイズが大きく、視界に入りやすい木の幹にいる場合が多く、さらに木をつつく音も出すので比較的見つけやすい鳥だ。

昨日店内で試した時にもっとも不安になったシャッタースピードを少しでも稼ぐために、最初からISO感度を6400固定にしていたのだが、この付近は樹間が広く、その上晴天であったために日が十分差し込んでおり、数百分の1程度まで上げることができた。当初懸念していたよりは良好な結果を得られた。

そしてそのとき撮った写真がこれ

ISO6400 シャッタースピード1/320

感度が高すぎたため画面の彩度が失われざらつきが出てしまっているが、まあ全然ダメというほどでもない。

こちらは画像処理で彩度を上げてシャープネス処理を施したもの。シャッタースピードが倍になったこともありさらにキリっとしている。
ISO6400 シャッタースピード1/640

この結果を見て最初にしてはまあまあの出来じゃないかと思っていたが実はこれが今回の撮影の中でもベストショットだったりする。
他はと言えばブレやピントズレはもちろんのこと、ファインダーの中に鳥を収める前に逃げられたりと中々撮影まで持っていけないといった場面が何度もあった。

これは腕の未熟な部分に寄るものもあるので一概に機材のせいだけにするわけにもいかないが、それでもやっぱり広角域があるズームレンズなんかに較べると操作は難しいなあと感じる。
まあ鳴き声は聞こえるのに鳥を見つけることができないという点については完全に自分の問題であり、この辺は機材の検証をする前に野鳥観察のスキルを上げるのが先かもしれない。

このアカゲラの後はシャッターチャンスが皆無のままばんけいスキー場のゲレンデまで来てしまったので、仕方なくそこで鉄塔にいたカラスを撮ってみた。

ISO6400 シャッタースピード1/8000

かなりの距離があるために締りのない写真になっている。ただ完全な晴天下ではシャッタースピードが1/8000まで上がっていたので、ここまでの好条件になればISO感度をもっと下げることは可能であることが分かった。

ちなみにこの鉄塔は焦点距離18mm(35mm換算で27mm)のレンズで撮った場合はこんな感じであり、かなり遠いことが分かる。

その後、行きとは別のルートで山を下りたのだが、その途中でミヤマカケスの撮影に成功。先週来たときも同じ場所で見つけたから同じ個体である可能性が高い。
しかしこのビックチャンスに大きなミスを犯してしまった。先ほどゲレンデで風景写真を撮影した時に+0.7EVだけ露出補正していたのを忘れてしまいシャッタースピードが大きく落ちてしまったのだ。

ISO6400 シャッタースピード1/40

見ての通り結構な近距離で撮れたがいまいちな写りになってしまった。

こちらは先週同じ場所で250mm望遠で撮ったもの(トリミング有)
ISO1600 シャッタースピード1/40

少し小さいが写りはこっちの方がいい。露出を正しくすればブレも軽減し画質の差は縮まったと思うが、それでもどうだろう。

あと気になっていた最短撮影距離だが、やはり一眼レフだと最低でも11〜12m以上は離れていないと焦点が合わないようだ。
そしてこのハシブトガラは大体12mから15mくらいの距離で撮影したもの。
ISO6400 シャッタースピード1/800

うーん、小鳥だとちょっと小さい。明るさ重視で倍率の低い接眼レンズにしたのも失敗だったか。10m以下の近い距離の小鳥を大きく写したいと思っていたが、それができないのは非常に残念。
ビクセンのホームページによると最短距離が伸びてしまうのは一眼レフの時だけみたいなので、そうなればコンデジの方が断然有利になる。
さらに調べてみるとコンデジの方がイメージセンサーが小さい分焦点距離がより大きく光量もアップするおまけに軽いといいことづくめのようで、そもそも一眼レフにフィールドスコープを付けるということ自体間違えのように思えてきた。

この日一日使用してみた感想としては、やっぱりこのスタイルでは時間的な余裕が無くてちょっと厳しいなといったところ。
鳥を見つける→ファインダーで鳥を捉える→ピントを合わせるまでは10秒程度は時間が欲しいなと思うが、実際そんな長い間留まってくれる野鳥はなかなかいない。
腕を上げればもっとこの一連の流れをスムーズに行えると思うが、それでもズームレンズを使うのには適わないであろう。

では動かない被写体の場合どれだけ綺麗にとれるのか?
それが気になって翌日円山のカモで試してみたのだが、この日は雲天だったために露出設定が悲惨なことに。

ISO1600 シャッタースピード1/13

ISO6400 シャッタースピード1/50

ISO16000 シャッタースピード1/100

ISO感度を1600→6400→16000と上げてみたが見ての通りISO1600の時はブレブレ。感度を上げるにしたがってブレは小さくなったものの、その代わりに高感度ノイズが目立つようになっている。
この実験では晴天下で動かない被写体という最高の条件での画質を確認することができなかったのは残念だったが、雲天での露出の検証という点では意義があったといえる。結果分厚い雲で空が覆われている日ではほぼ役に立たないと。

この土日で撮った写真を見る限りでは、画質を考えると自分的には最低ISO感度は1600くらいまでに抑えたいところだ。
そうなると青空の下、陽光が十分浴びる場所を撮影フィールドに選んだ方がいいことになる。森の中での撮影ということはもはやあまり考えない方が良さそう。

あと動き回ってる被写体をカメラに収めるのはもう諦めよう。野鳥撮影は追いかけるものでなく向こうから来るのを待つものだと今回身に染みて分かった。

そう考えるともはや手持ち+一脚サポートでやるより、おとなしく三脚使って場所を固定してどっしり構えた方がいいのではないだろうかと思えてきた。
結局素人の浅知恵で色々と試してみたものの先人の培ったノウハウには適わないわけでそれに従ってやるのが一番であるという月並な結論に落ち着いたのだった。

追記
動かない被写体(立ち木)で且つ三脚で固定して撮影した場合にどれだけの画質になるのかというのを試しに撮ってみたのがこの写真。(レリーズを持っていないのでセルフタイマーで撮影)

ISO400 シャッタースピード1/100

ISO感度も400まで下げてブレも極力抑えたものの全体的にくっきりとせずいまいちだった。
フィールドスコープが安物ということもあるが、それ以外も
コンデジで使える接眼レンズの方が高品質
コンデジの方がイメージセンサーが小さい分光量を得やすい。
などの理由もあるのでないだろうか。
つまりフィールドスコープ+一眼レフというこの組み合わせ自体が間違っていた可能性が高い。
同じED-52Sできれいに撮影している人を見てもみんなコンデジのようだし。
フィールドスコープとの組み合わせでコンデジが推奨されていたのも、安い・軽い以外にも相性という利点があるからなのか。
操作性やブレの問題については三脚を使うことで改善はできるが、画質についてはもうこれ以上どうしようもないしなあ。

せっかく買ったフィールドスコープだがこれはもはや無用の長物となってしまったようだ。
もったいないからカメラアダプターを外して純粋な野鳥観察用に使うことにしよう。